【空白】文 小池玄一郎

乾燥した枕元。いた。いたた。
寝起き干涸らびた喉元。
老け込んだ人相をにらみ洗うぱしゃぱしゃしゃ、浮かぶ小ジワ刻む谷間。
こんなん違うって。
ドアを開ければ刺す光。冷た痛っ、ほら唇われてんじゃん、ムズ痒。
ニッと笑顔でいらん血を流す、ささくれた白地に赤。生垣の向こうに梅が咲いていたよ。
一寸先の春。いたずらに血を流す、

笑顔。