【枯渇】文 小池玄一郎

光る爪。
乾いた頭皮をぼりぼりと掻き毟る、
付着した脂に光る指先。
デスクライトに照らされる、白紙の上
映える色つや。てら、てら。
一向にはかどらない今日のノルマ、
ばり。
ああ、また同じところに爪を立てている。