【風鳴り】
文 小池玄一郎
となりを待てば 薄いピンクの夕空に
しーんと始まる北の気配 ゆらゆら染まる葉っぱが泣いた
なんか
遠くまで見える気がする 影 沈む 街に光 赤
信号の冴え冴えが
圧倒的に存在する 颯爽とあの娘 自転車を押して
一人の似合う気高さで 歩く
チラチラ覗く
あの赤い星は何の星?
知るか
アンタレスはもういない
基地へと帰る 訓練機
風 鳴る 光
暮れの地平が燃えている
そんな場所に目配せするなよ