【寒天】
文 小池玄一郎
飲酒。手淫。インスリン。
便所の小窓に覗く月。
したね、僕。激昂。あまりの冷たさに跳ね上がる臀部!
この上なく無防備な。
電球はとうの昔に切れているが、当物件は西の角部屋にて
深夜でも、月影に晒され銀色のユニットバス。
届く光、冴え冴えと沁みる未明。
駆けろ。夜の道を駆けろ。
あ、今日こそ便座にカバーをかけなければ。
飲んで揉んで射ってやっとこさ温もっても、一瞬で凍えてしまう!
だからカバー、かけろ便座。
「俺、命かける」とか言ってんなバカ!
かけろ、カバー。