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【ひこうき雲の下で#2「青年とベンチ」】

本日は晴天。見るとノラ猫一家が仲良く日向ぼっこしている。
一瞬、少しだけ強まった風が横っ面をなでて去っていく。
僕はあの娘の長い髪を思い出して目をつぶった。
僕の横にあの娘はいない。
結局、彼女は誰だったのだろう。そんなことも僕は思い出せない。
会いたい。せめてもう一度。
よく笑って、よく泣いて、そしてすぐに忘れる
あの娘に。
たぶん、僕のことはもう忘れていても。

飛行機の音で僕は目を開けた。
青空を真っ二つに裂いていく白い雲。
ひとつだと思っていた空も、少しのことで別れてしまうんだ。
それでも、
僕はあの雲の向こうまで行けるだろうか。


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