【冬の蜜】文 小池玄一郎

さえずる鳥の姿がよく見える季節

裸の枝じゃ隠せない想い
剥きだしの幹からあふれだす秘密

夜のさえずり 簡単に撃たないで きこえないふりをして

おねがい

修羅場とやらに興じてみようか
余裕は見せた方が良い?
ドラマチックの根っ子にはいつも
小狡い打算の跡
ふざけあって突いた嘴に
いつの間にか血がついたよ 嘘だよ

夜のさえずり簡単に撃たれて消える 見えないふりをして

おねがい

このまま腐らせて
せっかく残された果実を 根こそぎ摘んでゆかないで

行かないで