【弾頭】
文 小池玄一郎
九月の終わり 金曜日
高架の駅のホームから 街へと繰り出す背広のざわめき
西の空
夕日にかかる薄雲は まるで和紙のスクリーンのよう
ぼんやり包む光 優しく映えるオレンジ
並び 建つ
マンションと鉄塔
の
灰色の一角が
まるで川を遡る鮭の腹のような朱
に
染まり
仄かな 水色を残す空へと伸びる
命を燃やす 発情の朱
を見るここに
それ
は
降ってくる
水底に 落ちてくる
逃げろ
にげろ
今ここに